竹とかぐや姫(その壱)

hidesun(英寸)

2010年10月10日 15:34




かぐや姫の成長ぶりは、「この児、やしなふほどに、すくすくと大きになりまさる。
三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、・・・・」というように語られ
ている。また、「なよ竹のかぐや姫」と、しなやかな竹のようにも語られている。
かぐや姫の成長ぶりは、驚異的、異常的、神秘的に描かれており、まさに盛んに
成長するしなやかな「竹」のイメージが重ねられているのである。
人は十月十日の間、母親の胎内で過ごすといわれている。人が胎内から出て来る
ように、かぐや姫は「竹」の筒の中から誕生した。ここで言う筒とは「竹」の節と節の
間の部分である。

『万葉集』巻第十一に次のような歌がある。
刺竹のヨ隠りてあれわが背子が吾許し来ずはわれ恋ひめやも   (二七七三)



これには、「さす竹の節間にでも潜んでいてください。あなたが、わたしのところに来
さえしなかったら、わたしは恋なんかしましょうか」というような意味が表されている。

「竹」には異郷と通ずる「節」があること、民俗的な特性が内在していること、さらに、
その形態などを考え合わせると、異郷の存在であり、美しいかぐや姫誕生の場として
「竹」が具体的なモデルとなったことは当然の成り行きであったようにも思われる。

『竹取物語』において、最初から竹取の翁が裕福であるようには描かれていない。
実際にも、賤民のような扱いがなされていたのかもしれないが、「竹」が神聖さを持っ
ていたがゆえに神人として捉えられもした。その結果、異界と地上界を結ぶ「竹」から
生れたかぐや姫の発見者としてふさわしい人物になり得たのである。
「竹」の神秘性が人々の心の中に深く、自然に浸透していたからこそ、『竹取物語』にお
いて、「竹」とかぐや姫、さらには、竹取の翁との関係が受け入れられた可能性がある。

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竹取物語