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2012年01月23日

八犬伝

『南総里見八犬伝』(なんそうさとみはっけんでん、南總里見八犬傳)は、江戸時代後期に曲亭馬琴(滝沢馬琴)によって著された読本。里見八犬伝、あるいは単に八犬伝とも呼ばれる。
八犬伝
【 画像:大神より 】

『南総里見八犬伝』は、室町時代後期を舞台に、安房国里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八人の若者(八犬士)を主人公とする長編伝奇小説である。共通して「犬」の字を含む名字を持つ八犬士は、それぞれに仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉(仁義八行の玉)を持ち、牡丹の形の痣を身体のどこかに持っている。関八州の各地で生まれた彼らは、それぞれに辛酸を嘗めながら、因縁に導かれて互いを知り、里見家の下に結集する。

八犬伝
『八犬伝』にもっとも強い影響を及ぼしているのは『水滸伝』である。たとえば『水滸伝』では百八の魔星が飛び散り、のちに豪傑英雄として各地に現われるが、『八犬伝』では八つの数珠玉が飛び散り、のちに八犬士として世に現われる、というように発端と構成が共通する。粗暴な部分もある『水滸伝』の英傑たちの物語を換骨奪胎したものが『八犬伝』であり、忠臣・孝子・貞婦のおこないは報いられ、佞臣・姦夫・毒婦のおこないは罰せられる、儒教的道徳にもとづいた勧善懲悪の物語となっている。

八犬伝
馬琴はこの物語の完成に、48歳から75歳に至るまでの後半生を費やした。その途中失明という困難に遭遇しながらも、息子宗伯の妻であるお路の口述筆記により最終話まで完成させることができた。『八犬伝』の当時の年間平均発行部数は500部ほどであったが、貸本により実際にはより多くの人々に読まれており、馬琴自身「吾を知る者はそれただ八犬伝か、吾を知らざる者もそれただ八犬伝か」と述べる人気作品であった。明治に入ると、坪内逍遥が『小説神髄』において、八犬士を「仁義八行の化物にて決して人間とはいひ難かり」と断じ、近代文学が乗り越えるべき旧時代の戯作文学の代表として『八犬伝』を批判しているが、このことは、当時『八犬伝』が持っていた影響力の大きさを示している。
本作は現在に至るまで大衆文学・ドラマ・漫画・アニメなど各ジャンルの創作に影響を与え、多くの翻案が生み出された。「前世の因縁に結ばれた義兄弟」「共通する聖痕・霊玉・名前の文字」「抜けば水気を放つ名刀・村雨」などのモチーフを借りた作品は枚挙にいとまがない(→関連作品)。また、『八犬伝』執筆時の馬琴のエピソードも、芥川龍之介『戯作三昧』などの創作の題材となっている。なお、里見氏は実在の大名であるが、「八犬伝で有名な里見氏」と語られることがある。『八犬伝』の持つ伝奇ロマンのイメージは安房地域をはじめとする里見家関連地の観光宣伝に資しているが、史実とフィクションが混同されることもある。
八犬伝
【 大神稲荷神社 】 場所



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Posted by hidesun(英寸) at 20:32│Comments(0)小説
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