2012年03月31日
二人静
桜にちなむ能演目 二人静

現の人間に霊がとり憑く能は多いが、死者に憑かれて、その死者の物語を語る女と、死霊そのものとが現れて二人が同じ衣装で、影が形に添うように同じ舞を舞うと云う数少ない形をとる能で、その物語は、吉野の勝手明神(奈良県吉野町:頼朝勢に追われ義経と別れた静御前が捕らえられ、この社殿の前で別れの舞を舞ったとの伝説がある)は、毎年正月7日の神事に、ふもとの菜摘川から若菜を摘んできて神前に供える風習がありました。
例によって神職が、菜摘女に若菜を摘みにやらすと、一人の女が現れて、“吉野に帰るなら伝えて下さい。
私の罪の深さを哀れんで、一日経を書いて弔って欲しい”と頼みました。
そして“あなたのお名前は”と尋ねられると、何も答えないで、跡形もなく消えてしまいます。
そんな不思議な体験をした菜摘女は、そのことを神職に話しているうちに、その女の顔つきが変わり、言葉つきも変わってきたので、神職は“いかなる人が憑いているのか名を名乗りなさい”と云うと、“静である”と名乗りました。
静御前の霊が菜摘女に憑いたことが分かり“それでは、ねんごろに弔うから舞いを見せて欲しい”と女に頼むと、女は果って静が勝手明神に収めた舞いの衣装を宝物蔵から取り出し、女がその衣裳をつけて、舞を舞おうとすると、いつの間にか静の霊も現われ、一人の女が二人となり、義経が頼朝勢を逃れて吉野の山を奥へ奥へとふみ分けて行ったありさまを語り、頼朝の前で不本意ながら舞った白拍子の舞を舞うのです。
※ 参考 : 白拍子
売春婦であり、芸能の民であり、神女であり、時代の象徴でもあった彼女たち――現代の言葉でそれを表すとすれば「アイドル」という言葉が最もふさわしい。源平合戦期、その白拍子の中で頂点であったのが静御前である。
中森明菜 二人静

1991年の唯一の中森明菜の作品が「二人静 ~天河伝説殺人事件~」である。
無情なる人の世で翻弄される静御前、しかしそれでも絶えなかった一途な情愛。その思いは、最愛の者にうち捨てられても、あるいは敵対する時の最高権力者の前であっても、けっして怯むことはなかった。
静御前の苛烈な愛の歴史を、スキャンダルに身を揉まれる現代の歌姫・中森明菜の肉体に憑依(お)ろした。であるからこの歌の題は「二人静」なのである。
「二人静」とは、中森明菜と静御前という現代と過去のふたりの哀しい歌姫の相舞である。 その相舞は、エロスとタナトスが、愛と憎しみが、背中合わせに寄りそい、そこにある感情は渾然として、なにものであるとも言葉にしがたい。 ただ、精神の激しい高揚と、白々した気迫が、あるのみである。
※中森明菜 「二人静」 激しく哀しい歌姫の相舞 より
【 二人静 ( 舞姫伝) 】動画
2012年3月 ・4月 MilkyMAIHIME公演
大江戸あやかし舞姫伝より

※ 参考
フタリシズカ(二人静) センリョウ科センリョウ属
草丈:30~60cm / 花径:3mm
山野の林下に生える多年草です。茎の先に数本の穂状花序を出し、小さな白い花をつけます。花弁はなく、3 個の雄しべが丸く子房を取り巻いています。和名は静御前とその亡霊の舞姿にたとえたものといいます。


現の人間に霊がとり憑く能は多いが、死者に憑かれて、その死者の物語を語る女と、死霊そのものとが現れて二人が同じ衣装で、影が形に添うように同じ舞を舞うと云う数少ない形をとる能で、その物語は、吉野の勝手明神(奈良県吉野町:頼朝勢に追われ義経と別れた静御前が捕らえられ、この社殿の前で別れの舞を舞ったとの伝説がある)は、毎年正月7日の神事に、ふもとの菜摘川から若菜を摘んできて神前に供える風習がありました。
例によって神職が、菜摘女に若菜を摘みにやらすと、一人の女が現れて、“吉野に帰るなら伝えて下さい。
私の罪の深さを哀れんで、一日経を書いて弔って欲しい”と頼みました。
そして“あなたのお名前は”と尋ねられると、何も答えないで、跡形もなく消えてしまいます。
そんな不思議な体験をした菜摘女は、そのことを神職に話しているうちに、その女の顔つきが変わり、言葉つきも変わってきたので、神職は“いかなる人が憑いているのか名を名乗りなさい”と云うと、“静である”と名乗りました。
静御前の霊が菜摘女に憑いたことが分かり“それでは、ねんごろに弔うから舞いを見せて欲しい”と女に頼むと、女は果って静が勝手明神に収めた舞いの衣装を宝物蔵から取り出し、女がその衣裳をつけて、舞を舞おうとすると、いつの間にか静の霊も現われ、一人の女が二人となり、義経が頼朝勢を逃れて吉野の山を奥へ奥へとふみ分けて行ったありさまを語り、頼朝の前で不本意ながら舞った白拍子の舞を舞うのです。
※ 参考 : 白拍子
売春婦であり、芸能の民であり、神女であり、時代の象徴でもあった彼女たち――現代の言葉でそれを表すとすれば「アイドル」という言葉が最もふさわしい。源平合戦期、その白拍子の中で頂点であったのが静御前である。
中森明菜 二人静

1991年の唯一の中森明菜の作品が「二人静 ~天河伝説殺人事件~」である。
無情なる人の世で翻弄される静御前、しかしそれでも絶えなかった一途な情愛。その思いは、最愛の者にうち捨てられても、あるいは敵対する時の最高権力者の前であっても、けっして怯むことはなかった。
静御前の苛烈な愛の歴史を、スキャンダルに身を揉まれる現代の歌姫・中森明菜の肉体に憑依(お)ろした。であるからこの歌の題は「二人静」なのである。
「二人静」とは、中森明菜と静御前という現代と過去のふたりの哀しい歌姫の相舞である。 その相舞は、エロスとタナトスが、愛と憎しみが、背中合わせに寄りそい、そこにある感情は渾然として、なにものであるとも言葉にしがたい。 ただ、精神の激しい高揚と、白々した気迫が、あるのみである。
※中森明菜 「二人静」 激しく哀しい歌姫の相舞 より
【 二人静 ( 舞姫伝) 】動画
2012年3月 ・4月 MilkyMAIHIME公演
大江戸あやかし舞姫伝より

※ 参考
フタリシズカ(二人静) センリョウ科センリョウ属
草丈:30~60cm / 花径:3mm
山野の林下に生える多年草です。茎の先に数本の穂状花序を出し、小さな白い花をつけます。花弁はなく、3 個の雄しべが丸く子房を取り巻いています。和名は静御前とその亡霊の舞姿にたとえたものといいます。

Posted by hidesun(英寸) at 20:33│Comments(0)
│伝統芸能
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